弁護士の先生が新たに独立・開業される際に、ホームページは必要不可欠なものです。
ここ最近、多くの独立・開業された弁護士の先生よりHPのご相談を頂きますが、実に難解な言葉を用いられているHPを多く見受けます。
弁護士会の広告規定や弁護士法の関係で、弁護士のHPは一般の企業よりも多くの制限を受けますし、掲載しなければならない事項も多く存在するのも事実です。
そこで、弁護士のホームページを制作する際の注意点を少しお伝えしたいと思います。
1.ホームページをなぜ作成するのか
ホームページを制作する目的を考える必要があります。
ホームページには大きくわけて、
(1)事務所の場所や連絡先を掲載するだけのHP
(2)集客を目的としたHP
に分類することができると思います。
(1)と(2)で共通する掲載事項もありますが、目的によって掲載方法などが変わってきますので、注意が必要です。
2.難解な言葉を使わない
ここで言う「難解な言葉」とは、弁護士にとってではなく一般の方にとって難解な言葉です。
分かりやすくお伝えしますと、よく料金表で見受けられる「家事事件」です。
調停や裁判の専門家である弁護士であれば家事事件と言われてイメージできると思いますが、一般の方であれば家事事件と聞いて何もイメージできません。一般の方は、家事事件と聞いて「離婚」や「相続」をイメージすることはできないのです。
次に、「経済的利益」という言葉も一般の方にはあまり馴染みのない言葉です。
弁護士などの専門家の方であれば、「経済的利益」という言葉に違和感を感じることはないと思いますが、一般の方は違和感を感じることが多いのです。
3.弁護士の顔写真の掲載について
弁護士に依頼することは、一生に一度ない方がほとんどです。
多くの方は知り合いの紹介により弁護士に依頼されますが、知り合い経由で弁護士に依頼しない方はホームページを見て探します。
どちらの場合でも、弁護士に会う前に顔を見れることは非常に重要です。
どういう顔なのか、怖そうな方なのか、優しそうな方なのか、何歳くらいの方なのか等、一般の方は事前に知りたいものなのです。
従って、弁護士の顔写真を掲載しないことは、ホームページの価値を大幅に下げると思って下さい。
4.「〇〇専門」と掲載しないこと
最近、インターネット広告等でよく見かける「交通事故専門」「離婚専門」「相続専門」などという言葉は、その案件以外に受けないのであればまだ理解できます。しかし、弁護士会の広告規定には「〇〇専門」との表記は、専門の担保がないので記載しないよう呼びかけています。
とある法律事務所においては様々ば分野で「〇〇専門」を謳っています。
「交通事故専門」「過払い専門」「医療過誤専門」「B型肝炎専門」などと1つの法律事務所であるにも関わらず、「〇〇専門」を幾つも謳っています。
また、離婚問題で困っている方が弁護士を探そうとして弁護士のホームページを見て、「交通事故専門」のサイトを見てしまうと、その法律事務所は「離婚問題は対応していないんだな」と相談や依頼を躊躇ってしまいます。
弁護士にとって「〇〇専門」と謳うことはメリットが非常に少なく、知り合いからの紹介を受けづらい状況を自ら作ってしまいますので、弁護士は「〇〇専門」と謳うメリットはほぼないと言えるでしょう。
5.まとめ
いかがでしたでしょうか。
ここで記載したことはほんの一例で、その他にもHPで気を付けることは山のようにありますが、ほとんどの弁護士は「HP業者に任せているから」と理解していませんし、HP業者は「弁護士業界の慣習」などを理解していない業者がほとんどなので、せっかくお金をかけて制作したHPが、ほとんど意味のないHPと化していることは少なくありません。
今回は弁護士や法律事務所に焦点を当ててみましたが、税理士・司法書士・行政書士などの士業にはほぼ全て当てはまります。
お金をかけてHPを作成するのであれば、ぜひ意味のあるHP制作をして下さい。